「寝ても醒めても」

1984年の夏、初めてMTVを見た。
カリフォルニアの知人宅のリビングには大きなテレビが置いてあった。
繰り返し流れる洗練されたダンスと圧倒的な歌に
その家の3歳になる男の子と一緒に、
一日に何度も何度も現れる同じPVを、
一ヶ月の間、時に歌って、時に踊って、毎日飽きずに見続けた。

そのアーティストこそが、マイケル・ジャクソン。

今考えると、あの夏は前年に「Billie Jean」「Beat It」「Thriller」を発表した後で、
マイケルブームに沸いていた、まさにその時だった。

あれから、20年以上の時を経て、今日はスクリーンでマイケルを見た。
リハーサルを編集した映画とは思えない。
コンサートばりの(もしかしたら以上?)パフォーマンスに、
自然に身体が揺れてくるのを抑えつつ
あっという間の2時間だった。

彼が残したものは大きい。
誰も彼のかわりは出来ない。
これからも現れないと思う。

カリフォルニアの広いリビングで、黒人の一家とマイケルを見続けた夏。
彼らにとっても、誇りであったのだ。


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