「ミッキーマウスの化石・ドナルドダックのミイラ」

ディズニーランドに行きたいという子供達をそそのかして
入場料無料の国立科学博物館へ。
上野駅は動物園へ向かう人、美術館に来た人でごった返す。
駅を軸にそれぞれの方向に散って行く。

快晴の上野公園を歩いて進むと、
目に飛び込んで来たのは等身大のクジラ。
一気にテンションがアップして、
なんちゃってのお城より価値があることを確認。
大人分のみ入場券を買って、さっそく、中へ。

まずは原人から現代人まで、頭蓋骨と蝋人形でおさらい。
現役中学生は目から赤外線を出して見入っている。(電算音付)
時代ごとに並べられた頭蓋骨を端から認識している模様。
そのうち、何かを指差す。
指の先には、頭蓋骨の説明の札。
その説明の札に一点だけ「レプリカ」とない。
「そうさ、江戸時代のブツは本物さ。」

日本の地形のなりたちを確認するも、まだ一部屋を見ただけなのにすでに一時間が経過。
「おいおい、若い衆、ここは一万坪もあるんだぜい。」
一同、食堂へ向かう。
道中、水の生き物の展示に目を奪われ、うっかり寄り道。
おのおのの興味のままに、やや迷子気味の親子3人。
巨大イカを見て、やっとわれに返り、食堂を目指す。
蝶ネクタイのベテランギャルソンの軽やかな案内で席につく。

作戦会議。

もめにもめた末、海の生き物と忠犬ハチ公の剥製とミイラと売店に絞る。(絞れてない)
ゆっくりもしていられないので、急いでごちそうを飲み込んで展示室へ。

実際の海よりスンバらしい魚介類の展示に、
「あぁ、やっぱりダイビングなんて必要ない。カナヅチで本当に良かった。」と
自己肯定に入る。

中学生は「蟹おいしそう。」(電子音)
北海道で生まれ育つと食指が動いて当然だ。

(あ、小学生がいない。いた。)
を繰り返し、カビの拡大模型前で家族の再会を果たす。

未練がましく振り返りつつも、ミイラに急ぐ。
思った以上に面影を残すその女性に、小学生が固まる。
正しい反応。

売店で骨模型を欲しがる中学生。
やんわりと断る母。
外に出ると中学生の靴紐がとけていた。

そこにベビーカーを押す若いお父さんと5歳位の子の手を引いたオシャレなお母さん。
モーレツにけんかをしている。
お父さん劣勢。
サンバのリズムに合わせて、けんか親子のパレードは西日の強い照り返しの中へ
消えていった。


一覧へ戻る