「大将、この絵にぎってくれる?」

道立旭川美術館で「アロイーズ展」が始まった。
この展覧会を主催するNPO法人ラポラポラとは
昨年、福祉施設の作品へのマーケティングセミナーで
講師をさせて頂いたことからお付き合いが始まった。
ディレクターで陶芸家でもある工藤和彦さんがメインとなって奔走し、
ボーダーレスアートの活動をしている魅力的な団体だ。
今日はオープニングイベントで
アロイーズ財団の学芸員のセリーヌさん(美人)の話を聞いてきた。

アロイーズ・コルパスはアールブリュット※の代表的なアーティスト。
32歳で統合失調症を発症し、入院した施設で亡くなるまで、
46年もの間愛をテーマに作品を作り続けた女性。
瞳の無い青い目が印象的な、男女を主なモチーフとして描いたのは
何か抑圧された執着があったのだろうか。
驚かされたのは、アロイーズが施設にいる時の写真。
きちんとまとめられた髪、こぎれいな洋服、
清潔な部屋でアイロンを前にしているポートレートは、
あの色っぽい愛の表現者とは思えない。
凛とした賢そうな女性だ。(事実、優秀な彼女は発症前、教師をしていた。)
アールブリュットを芸術とするかどうかの議論はさておき、
彼らの生み出すアート作品の力には圧倒される。
機会があれば是非。

※学校などで芸術教育を受けてないにもかわらず、
膨大なアート作品を作る人がいます。
その中で主に、精神疾患や精神障害を持っていたり、
刑務所など特殊な環境にいたり、
また、自宅などにおいて独自に生み出されたりするアートを
フランス人画家ジャン・デュビュッフェの命名で
アール・ブリュット(Art Brut)と呼ぶようになりました。
アール・ブリュットは「生の芸術」と訳されますが、
意味合いは“手付かずの“とか”無添加の“といった表現の方が近いようです。


一覧へ戻る