「ころもほすてふ」

北海道では百人一首が木で出来ている。
その昔紙が大切なものだった時に、
建築や船の端材を使ったことが
始まりだったらしい。

読むほうの札は紙製で、上の句下の句両方印刷されている。
取るほうの札が木札で、下の句だけが手書き文字で書かれている。

だから、文字ばっかり。
歌人の似顔絵無しなのだ。

しかも、“下の句かるた”と言って
下の句しか読まない。
上の句完全無視なのだ。

え~~~~。

だから、いつまでたっても
「花の色は~」も
「朝ぼらけ~」も
出てこない。

こども達は小さな頃から遊んでいるので
旧仮名遣いの変体仮名文字の木の札を
スポーツさながら
バンバン取るのだが、
小野小町も、花の色も、知らない。

一方、坊主めくりばっかりしていた母は
誰が坊主か姫かすら、もはや分からない。


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